「学 IWATAYA "school of jewelry making"」前編

こんにちは。WORKSHOP NANOKAWAの小野です。

今回は、福岡の百貨店・岩田屋本店で始まった「学IWATAYA」についてレポートしていきます。

岩田屋本店 本館7階にオープンした、“高感度の学び”を提供するカルチャースクール「学 IWATAYA(まなびいわたや)」。

4月からこの「学IWATAYA」で、”school of jewelry making”と題して講座の一つを担当させていただくことになりました。

 

福岡市南区に彫金教室「WORKSHOP NANOKAWA」がオープンしたのが、3年前。

オープン以前・以降にも福岡各地で単発のワークショップは開催してきましたが、今回は初の試みとして、WORKSHOP NANOKAWA以外の場で複数回通ってジュエリー全般について学べるカリキュラムを作りました。

「モノづくり経験ゼロからでもスタートできる彫金講座」をコンセプトに、ジュエリーデザイン、宝石と地金の知識、ジュエリー制作にかかせない技術を学び、カリキュラム後半には実際にアトリエでリングを制作、貴重なダイヤモンドの石留めまで体験できるという内容です。

 

6月13日(日)をもって、全8回あるカリキュラムの前半が終了しました。

ここでは前半4回のカリキュラムを振り返りたいと思います。

【第1回:ジュエリーデザインについて】

ジュエリーがどうやって現在のようなデザインになったのか。

1800年代後半からプラチナやダイヤモンドが扱われはじめ、優美で繊細なデザイン「ガーランドスタイル」が始まり、第一次世界大戦以降では女性の社会進出により、動きやすい服装、それにより働きやすいスタイルが確立され、ジュエリーも例外なくその流れにのります。

時代のキーワードに影響を受けながら、変貌するジュエリーデザインを語らせていただきました。

「狂騒の、2020年代」

 

【第2回:宝石について】

宝石の授業では、ダイヤモンド、コランダム、ベリルなどについて語ります。

紀元前ダイヤモンドがただ硬いだけの石だった頃から、1400年代に加工が可能になり、現代では4Cという基準によりダイヤモンドの価値が画一化されるまでの歴史。

途中ダイヤモンドとキュービックジルコニアの見分け方をレクチャーしましたが、受講生の皆様は完璧に見分けられますね。ルーペの使い方も完璧。

モース硬度(hardness)と呼ばれる石の硬さの順位、靭性(toughness)と呼ばれる石の粘り強さの重要性を、身近な物に置き換えてレッスンを行っていきます。

>「One Off Industrial Diamond」

 

【第3回:地金について】

貴金属の価格推移、化学的特徴、冶金術(やきんじゅつ)などを学びます。

貴金属を柔らかくする「鈍し」(なまし)を施した銀と、そうでない銀の曲げ比べは、貴重な経験になったと思います。

個人的に思っている「金属扱いやすさランキング」など交えながら、鍛造、ロストワックス、光造形など制作技法も動画を見ながらお話ししました。

「ホワイトゴールドのこと」 

 

【第4回:加工について】

ここまではちょっと難しくややこしい座学でのお話でしたが、4回目はいよいよ銅板を使い、実践で加工技術を学び始めます。

糸ノコの安全な使い方から始まり、ヤスリの持ち方と削る方法、石留めに必須のドリルによる穴開けから、石のセッティングまで。

受講生の皆様、時折歓声をあげながら、時間を忘れて作業に没頭してもらいました。

 

初回の授業の時には、受講生の皆様から「小野さん」と呼ばれていた私。すぐには打ち解け切れず距離感を感じていましたが、4回目のレッスンにもなると関係性はすっかり縮まり、呼び方も「先生ッ!」となっていきます。責任重大です。

 

銅板制作は、皆様初めてやる動作なので難しい。けれどもできると小さな達成感。

難しいことにチャレンジ→できるようになる→上手くなる→難しいことにチャレンジ→・・・この繰り返しを体感すると、できることが増えてきます。上手くなるスピードも上がるし、楽しいと感じる時間も長くなってきます。

(hum making の若さみなぎる神田はまさにこの状態)

 

2時間のレッスンもあっという間です。

私も本職が職人ですので、汗だくになりながらも熱中して教えることができました。

 

 

 カリキュラム途中、コロナの影響で岩田屋が休業に入った時は受講生の皆様と心配しましたが、無事前半が終了して一安心しています。

次回からは福岡市南区にある「WORKSHOP NANOKAWA」で、待ちに待った実技が開始されます。あとはひたすら手を動かし目標に向かって作るだけ!

私も受講生の皆様と一緒に楽しく学べるレッスンを提供していきます。

 

 

 

最後に、「学IWATAYA」での気付きについて語らせていただきます。

学校は、ただ授業を聞き作業をこなすだけでなく、生徒同士が切磋琢磨し信頼関係を築き、やがて友人や独自のコミュニティを作る場所だと思っています。

月に2回、同じ場所で休まずレッスンを受講される皆様。

家族や職場の人達ほど顔を合わせる回数は多くありませんが、同じ目標がある人同士が集まり同じレッスンを受けることによって、共通の課題に向かい合い、時には相談したり話し合いながら、だんだんと仲良くなっていくのがわかります。

その場しのぎ的にただ授業を提供するだけでなく、学ぶことの大切さを実感でき、人と人との関係性が築けるような場所作りも心掛けていきたいと、意を固くしました。

 

 

次回は全8回のカリキュラム終了後のレポートをお届けしたいと思います。

いつもとは趣の違う番外編的なお話になりましたが、最後までお付き合いいただき、誠にありがとうございます!

 

-----------------------------------------------------------

Instagram:@workshop_nanokawa

 

 


Recommend Items