神田彫金技塾 at WORKSHOP NANOKAWA

こんにちは。WORKSHOP NANOKAWAの小野です。

今日は遂に福岡で開催される「神田彫金技塾」についてご紹介いたします。

 

工具の質や量、講師の人数などの制約から、WORKSHOP NANOKAWAではなかなか触れることができていなかった「彫り」。

この彫りを習得する講義を開催できる日をようやく迎えられることになります。

開催にあたり、東京からhumの職人を3人招きました。「神田彫金技塾」の名前の由来にもなった神田夏稀もいます。職人歴3年目の神田は今年に入ってから日々練習を重ね、今ではhumの商品の彫りを担当するまでになりました。彼女の新鮮な経験が特別講義に生かされます。

今回の講義では、シルバーのリングに月桂樹の模様を彫る体験をしていただきます。

私が職人になって15年になりますが、この「彫り」・・・もっと詳しく言うと「和彫り」に関しては習得する機会がなく、不得意とする分野でした。

 

私は、原型師と呼ばれる仕事から職人としてのキャリアをスタートしました。

原型師はヤスリやリューターを使って、ジュエリーのまさしく原型となる最初のひとつを作る職人です。なので、リングに模様を施すとか、ルースを素早く連続で留めるというような経験があまりできませんでした。

 

原型師は量産がベースにある仕事です。数年前まではそれでよかったのかもしれませんが、humは自社のアトリエで自社の職人が量産を前提とせず、オーダーメイドで製作することに強いこだわりを持っています。もちろん彫金教室の生徒さんが作る作品も、自分自身に対して丁寧に作るオーダーメイド。

そんなhumの特色のひとつともいえる高度な技術が、「和彫り」です。

 

和彫りは、オタフク槌という特殊な形の金槌とタガネという刃物を使って彫り模様を描きます。タガネを彫る対象の貴金属にあて、オタフク槌でタガネを叩き少しずつ彫り進めるのですが、この両手の動きが難しい。

ただ、最初は持つのが難しいお箸も練習すれば使えるようになるのと同じで、慣れれば必ずできるようになります。

 

問題になるのは、彫り模様を描くタガネそのものです。和彫りが上手くなる秘訣はタガネに隠されています。

タガネは市販のものを買ってすぐ使うこともできますが、実はこの状態では綺麗に彫ることができないのです。

神田夏稀もそうであったように、humの職人が彫りを習い始めるときには必ず先輩職人が研いだタガネを使います。この準備がとても大切で、綺麗に研いだタガネを使って練習しないと、綺麗に彫るということはどういうことかがわからないまましなくてもいい経験をしてしまう。合理的に素早く和彫りを習得するためには、綺麗に研いだタガネがマスト。

今回の講義でもhumの職人が研いだタガネをご準備いたしますので、どなたでもベストな状態で和彫りの経験をスタートできます。

 

しかし、最初から美しい直線や曲線を彫ることはやはり難しい。字が書けるようになっても、「美しく」字を書くにはもう一段上の努力が必要とされるのと一緒です。

けれども是非チャレンジして欲しいです。

大人になると新しい体験が減ってきます。彫金の中でも経験者が少ない和彫りだからこそ、貴重な体験になる。

「全くできない」から、「出来た」に変わる瞬間。少しでもコツがつかめると楽しくて仕方がなくなるはずです。

最後に生徒さんへのメッセージ。

今回の成果物の写真を見せたとき、ある生徒さんに言われました。

 「急にこんな難しい模様が彫れるのか」

確かに難しいし、たぶん最初はサンプルのように彫ることはできません。

しかし、多くの職人はここまでに至る前段階のプロセスで挫折してしまいます。なぜなら、直線や曲線の彫り、穴あけなどの日々の単調な基礎練習を、月桂樹などの模様が彫れる状態に紐づけられないからです。

絵が上手くなりたいからといって毎日リンゴの絵を描くようなもの。リンゴだけではなく他の果物や、人物、風景なども描かなければ、色幅も増えないし構図も上手くならない。そのうち、「絵が上手くなりたい」「絵を描くのが楽しい」という純粋な気持ちすら忘れてしまいます。

和彫りも同じだと思います。「こんな模様を彫ってみたい」「模様を彫るのがただただ楽しい」という純粋な気持ちがあってこそ続けることができるのだと思います。

 

技術的には確かに難しいかもしれません。

しかし地道に続けることで小さな「出来た」が積み重なり、最終的にはこんな模様が彫れるんだ!という楽しさも学べる。

 

私も生徒さんに混ざり、遅ればせながら和彫りを学びたいと思います。

新しいことに挑戦する喜びを一緒に体験しましょう。

 

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「神田彫金技塾 at WORKSHOP NANOKAWA」

 

■日程

① 12月4日(土)14:00~19:30

② 12月5日(日)10:00~16:30

 ※各回限定8名様

 ※両日ともに同じ内容の講義です。開始時刻が異なりますのでご注意ください。

 

■料金

¥22,000(税込)

 

■その他

・お客様のサイズに合わせたリングを予めお作りしますので、ご予約時にサイズをお伺いしております。

・4日(土)は講義終了後humの職人と懇親会を開催。5日(日)は昼食がつきます。※いずれも無料

・講義で使うタガネ、銅板、シルバーリング、教科書はお持ち帰りいただけます。練習等にご活用ください。

 

■ご予約・お問い合わせ

WORKSHOP NANOKAWA

 Tel : 092-406-6883

 Mail : workshop_nanokawa@hum-est.com

 Instagram:@workshop_nanokawa

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皆様のご参加をお待ちしております。

 

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