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【hum making】神田-タガネ作り
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【hum making】神田-タガネ作り

こんにちは、小西です。

 

JEWELRY MAKING FESTIVAL vol.3、いよいよ再来週に迫ってまいりました。

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予約受付は10月4日(火)で締め切らせていただきます。

 

 

 

さて、本日は職人・神田による“hum making”をお届けします。

 

神田が講師を務める、彫金のテクニックにフォーカスしたワークショップ「神田彫金技塾」、先日第4回目を開催しました。

大変喜ばしいことに満員御礼となりましたが、その裏では「32本のタガネ作り」が必要でした。

これまでは代表・貞清が準備してくれていたようですが、実際に自分でトライしてみると苦労の連続だったようです。

 

Instagram:@hum_making

YouTube:hum jewelry making

 

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神田です。

今日は、彫金に欠かせない工具「タガネ」について解説していきます。

 

工具屋さんから買った直後のタガネはそのまま使わず、基本的にはちゃんと研ぎ直してから使います。

タガネを研ぐには、「治具(じぐ)」と「砥石」を使います。治具にタガネをセットして、砥石に当てて研ぎます。

この時に自分で使いやすい角度に研ぐというのが大事なポイントで、よくタガネを「作る」と表現されます。

 

<上が研ぐ前のタガネ、下が研いだ後のタガネ>

 

 

今回用意したのは四分タガネで、線の彫りに用いられることが多いです。

四分タガネにも、大きく分けると直線を彫る用と曲線を彫る用の2種類があります。

直線用と曲線用で違うのは「背中」と呼ばれる下刃の形状です。直線用の背中は平面でパキッとしていて、曲線用の背中は曲面に湾曲しています。

 

<直線用>

 

<曲線用>

 

もちろん形が違うので研ぎ方にも違いが出てきます。

直線用は治具さえあれば割と簡単に研げるようになります。(難易度★☆☆☆☆みたいなイメージ)

曲線用は曲面のカーブに沿って手を動かす必要があり、たくさん練習しないとなかなかいいタガネは研げません。(難易度★★★★★★)

 

タガネや治具など、工具は自分で作って自分で育てていくものです。

私はこれまで貞清さんが育てたものを使っていましたが、第4回の神田彫金技塾をきっかけに初めて自分でやってみました。

以下、その記録です。

 

 

 

1日目

タガネを研ぐ前に治具作りから始めます。

治具作りのポイントは2つ。

・基準になる位置を決める

 タガネは左右対称に研ぐことが重要です。まずはタガネをセットしたときに中心になる位置を探して、治具の目盛りに0の印をつけます。0の位置が決まったら、次は左右の角度をつけて同じように印をつけます。一度印をつければ次からはそこに合わせてすぐ研ぎ始められます。

・稼働部を削って滑らかにする

 曲線タガネの曲面を作るためには滑らかな動作が必要です。買ったばかりの状態は動きが悪いので、自分で削って稼働部のすべりを良くします。

0の位置を探すのにとにかく苦戦してしまい、本日はこれにて終了。。。

 

2日目

引き続き治具作り。

0の位置が決まったら、そこを基準にして左右の角度をつけていく。

左右対称にしたつもりでも、(研いだタガネの面を見ると)なぜか全然合っていない。何度やり直しても合わない。泣きたい。。。

 

3日目

結局、貞清さんが作った治具を使わせていただくことになりました。

本当は自分で工具を育てられなければいけないのですが今回はタイムリミットがあるので、一旦治具作りはスキップさせてもらいます。

曲線タガネの研ぎを開始。

まずは貞清さんに研ぐお手本を見せてもらう、、、上手〜〜〜!!!!!(20年研いでるからね、と言われました)

自分で2本研いでみたが、手の動きがまだぎこちないのか研いだ面がカクカクとなってしまっているので、滑らかにできるようになりたい。

 

4日目

今日も1本研いだ。前回研いだ2本と合わせて銅板を彫ってみたが、まぁ曲がる曲がる。

※彫りが曲がってしまうということは、左右対称に研げていない

面がカクカクするのはだんだん良くなってきたかも。力を入れずに手を動かすのがポイント。

 

5日目

曲がるタガネをなんとか修正して、無事まっすぐ彫れるように。

修正以外にも時間が取れたのでもう1本研ぎ終わった。

タガネの面もカクカクがだんだんなくなってきたし、研いでる最中にどこが当たっているかの感覚もわかってきた。

あとは大事な砥石をいかにきれいに保ち続けられるか、、、そっちにもちゃんと気を遣っていきたい。



6日目

本日は4本研げた。手の動かし方も慣れてきた。

曲がったものの修正もスムーズにできるようになってきた。

タガネを砥石で研いだあとは、リューターを使って面を整えたり、ダイヤモンドペーストで刃先を少し滑らかにして、段々ができないように調整。

ペーストに擦り付けるのがちょっと足りなかったのか、何本かは段々のままで本日タイムアップ。

残り24本。


7日目

調子に乗ったら盛大にしくじって、1本しかできず。反省。

 

8日目

調子が良かったので4本できた。

 

9日目

今日も調子が良く4本できた。

内1本は左にかなり曲がってしまう曲者でした。修正して完璧に仕上がった。

自分で使いたいくらい良く研げたものもあるけどちゃんと受講者の方にお渡しします。

砥石の調子も見ながらやらないと、すり減り方が均等じゃなくなったり目が詰まったりしてしまう。

残り16本、折り返し地点。

 

10日目

細い方の曲線タガネへ突入。

細いから簡単かと思いきや、削れるのが早くて左右合わせるのが意外と大変。

苦戦しつつも4本終わり。

残り12本

 

11日目

細いほど面の艶は出しやすいけど、やはり左右差の調整に苦戦。

左に曲がりすぎてしまったものもあったが修正込みで4本終わり。

あとは直線タガネ8本を残すのみ。

 

12日目

直線タガネを8本研いだ。

直線タガネは研いだ直後がキンキンになって、彫るときに刺さりすぎて彫り跡がガビガビになるので、ダイヤモンドペーストやリューターポイントをつかって少し角を落とす。この良い塩梅が難しくて、やり過ぎると彫れないし、やらなすぎると彫り跡がツヤっとしない。

 

 

1日1時間×12日間かけてタガネ32本の完成です。

短期集中的にこなしたことで、研ぎ方がだいぶ手に馴染む感覚がありました。

 

銅板の試し彫りで勝手に曲がっていってしまうものがあって、タガネの研ぎがいかに大切で彫りの出来栄えに関係するのかを実感しました。

そして、よく貞清さんが言う「彫れるタガネで練習してからじゃないといいタガネは作れない」というのは本当にその通りだとわかりました。

 

今は研ぎから少し離れてしまっているけど、あの感覚は毎日続けないと体に染み付かないなと思います。

ただ実際に使っているタガネを毎日研ぐとどんどん削れてなくなってしまうので、毎日研げば良いという訳でもありません。。。


まだ研ぐのに時間はかかってしまうけどとても良いタガネが出来上がっているので、またタガネを使うワークショップを行う際には私が自分で研いだものをお渡ししたいです!

 

 

Instagram:@hum_making

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photo by Keisuke Mogi

 

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