【hum making】 神田-"職人への道"振り返り

こんにちは、小西です。

 

職人が一人前になるまでの過程を日記形式で公開している【hum making】。昨年から和彫りの練習を重ねてきた若手の職人・神田夏稀は、早くもoctagon ringcarving ringを彫れるまでになりました。

ストイックに鍛錬を積み、驚くべきスピードで成長している神田。日々の努力や苦悩の数々をブログを通して伝えてきた私も、ただただ感服するばかりです。きっと皆様の応援があったからこそ、神田も努力し続けられたのではないでしょうか。

2022年も引き続き【hum making】を見守ってくださいますよう、よろしくお願いいたします。

 

さて今回は、YouTubeチャンネル「hum jewelry making」で公開中の「職人への道(石留め編)」を振り返る内容です。

石留めは苦手な分野だそうですが、YouTubeの撮影は楽しんでいたように見受けられました。この試みを通して、石留めに対してのモチベーションはどう変化したのでしょうか。

 

Instagram:@hum_making

YouTube:hum jewelry making

----------------------

 

神田です。

YouTubeの「職人への道(石留め編)」を全て公開し終えました。いつもご視聴いただきありがとうございます。

このシリーズは、私が貞清さんからアドバイスをもらいながら視聴者の皆様に石留めを教えるような内容になっていますが、実は撮影が始まるまで石留めはまともにできませんでした。(今もまだマスターできていません)

 

学生時代から石留めは苦手。決定的な理由はないけど、やらないで済むならそれが1番だと思っていました。

humに入ってからも、先輩がひたすら石を留めている姿を見て「大変そう。やりたくない。」と思っていました(本音)。

 

初めてhumで石留めを経験したのは、2021年3月の頭。鮮明に覚えてます。

ワークショップで一粒ダイヤのピアスを製作したとき、ベース作りまではできたものの、肝心のダイヤが留まらない!

結局、貞清さんに留めていただきました。貞清さんは私たち職人がこんなにも石が留められないのかとビックリしたみたいで、次の日くらいに急遽、貞清さんによる石留め講習をみんなで受けました。

貞清さんによる講習の後はJEWELRY MAKING FESTIVAL vol.1の準備などで忙しくなってしまい、練習する時間が取れませんでした。

 

その後、4月に北海道で実施するワークショップの為、急きょ一粒ダイヤピアスの石留めと、オプションダイヤ(完成したジュエリーに追加で留める小さいダイヤ)を練習しました。ピアスは3個くらい作って留めようとした記憶があるのですが、全部できませんでした。

貞清さんに教わりながら必死で練習して、いざ本番。

お客様のバングルにオプションダイヤを留めたら、ご希望の位置から少しずれてしまいました。一緒に担当したWORKSHOP NANOKAWAの小野さんから注意されて、完全に撃沈…。

 

それ以降特にイベントもなく石留めからは自然と離れていき、正直ホッとしてしまっていた自分がいました。

ところがしばらくして「YouTubeで石留め講座をやろう!」という話が出ました。

いや留められないし、私が教わりたいくらいだ…と思いながらも、あれよあれよといううちに撮影がスタート。

精度は後回しでとにかく実践。撮影のための練習をこなしながら何とか石留めを理解していくような感じでした。

私もまだ感覚を掴めていない石留めですが、私の経験が何かしらの形で誰かの役に立てばと思い、強行突破の練習を振り返ってみます。

 

(1A)…直線と尾っぽの彫り。

直線も尾っぽも、何に使うのかがはっきりわかっていませんでした。「ミルを打つため」「彫り留めのため」とは聞いていましたが、どう使うのか想像がつかない。

とりあえず綺麗な直線と綺麗な尾っぽを彫れるように練習して、失敗も重ねつつ、銅板4枚ほど彫りました。

 

(2A)…穴あけ。

直線と尾っぽは彫る作業だったけど、穴開けとなると石留めをやるんだという意識が急に強まってしまい、気持ちが後ろ向きに…。

最初はひたすら手でグリグリと開けていました。ピンバイス(穴を開ける時に使用する道具)を使うと擦れて親指に豆ができたり、腕が痛くなります。4つ開けるのが精一杯。ますます気持ちが後ろ向きに。

1つの穴を開けるのに時間もかかるし、ずれるし、大変です。と貞清さんに言ったところ、リューターやフレキで穴を開ける方法を教わることに。手で開けるのに比べたら遥かにスムーズになりました。

もちろん精度はまだまだ。

 

(3A)…尾っぽを使った彫り留めの方法。

ここでやっと尾っぽの使い道を知りました。尾っぽは何度も練習しているので、精度はまだまだでも何となくできた気分になれたので頑張れました。

練習を重ねるあいだに、実際の商品を見せていただきながら「こういうところに使っている」というのを具体的に説明していただきました。

“尾っぽ”が使われているリング

 

(4A)…ミルの打ち方とピラミッド。

個人的に1番楽しい回でした。ミルを打つために直線が必要な理由がわかりました。

最適なミルの大きさを選ぶ方法もこの時に知りました。後にcarving ringやoctagon ringの彫りにも生きてきます。

爪起こしの練習のピラミッド彫りは無心になれました。無心でピラミッドを彫り続ける姿を見た貞清さんが、「友達居なくなりそう」と一言。。。

 

(5A)…3Aでやった彫り留めにミルを追加する応用でした。

やってきたことにやってきたことを重ねるので特につまずきはしませんでした。

基本的に精度はまだまだですが、気持ちが後ろ向きから前向きに変わってきた頃だったように思います。

 

(6A)…実際に石留めをしました。

ミル留めは学校でやったことがあったけど上手いやり方がわからなかったので、今回の練習で綺麗に見える方法が知れて満足。

彫り留めは苦労せずに留められました。(彫りが曲がっているとご指摘がありましたが…)

ころし留めは、humのオプションダイヤの留め方です。やったことあったので簡単かと思いきや、平面に留めるのは少し難しかったです。

 

(7A)…貞清さん曰く「お遊び」の後光留め。

なぜお遊びかというと、今はほとんど使われない古い留め方だからだそうです。

貞清さんが習得するのに1年かかっても完璧に出来なかったと仰るくらい難しい留め方。

その通りに難しかったです。

 

(8A)…連留めの練習。まずは彫りから。

連留めができるようになると大体の商品が留められるようになります。Octagon ringも連留めです。

なかなかコツが掴めず、苦戦。

 

(9A)…8Aの彫りに石を留めます。

1番苦戦しました。石が全然留まらず精度も悪くて8時間ほど格闘、頭から煙が出てた気がします…。

石留めやりたくない、というネガティブな感情がここで再発してきました。それを察したのか、貞清さんが「精度はまだまだだけど、筋はいいし、初めてでこれだけできれば十分」と言ってくれました。

単純なので、少し頑張ろうと思えました。

 

(10A)…最後は板ではなくリングに石を留めました。

本当は彫りが完璧になってから石を留めるらしいのですが、今回は撮影のために石も留めました。

実際の仕事でも、octagon ringの石留めはシルバーの練習を挟まずにそのまま商品でやると聞いて、銅リングの練習も続けようと思いました。

 

----------------------

 

神田に「石留め練習を強行突破してみて学んだことは?」と聞いてみると、「食わず嫌いを克服しようと挑戦したもののやっぱり苦手だった、ということです」との答えが。。。しかし石留めをひととおり経験して苦手に向き合ったことは、きっと自身の糧になると思います。

彫りを練習していた時と違って「まだハマれていない」という神田。できるようになりたいという思いはあるようなので、これからハマるきっかけを掴めたら良いですね。

今後の練習プランは未定だそうですが、進捗があればまたこちらでご報告します。引き続きよろしくお願いいたします!


Recommend Items