鋳造から鍛造へ
こんにちは、小西です。
humは昨年のREFINE METAL Collection以降、新たに発表するコレクションは全て、REFINE METALだけを使ったハンドメイドの鍛造に拘ってきました。
「誰が誰のために、どのように作るのか」を重んじてジュエリーを作る中で、この度ブライダルコレクションのリニューアルを決断しました。
どのようなリニューアルかというと、これまで鋳造で製作していたものを全て鍛造に切り替えます。言うまでもなく素材はREFINE METAL。デザインはそのままに生産方法を大幅に変更します。
鋳造と鍛造の違いは先日のInstagramライブでもお話ししましたが、改めて簡単に説明すると、鋳造は「型に地金を流し込んで作る量産に向いた方法」、鍛造は「金属の塊を叩いたり伸ばしたりしてひとつひとつ形作る方法」です。
更に重要な点としては、鍛造で作ることで「humのアトリエで全ての工程を完結させられる」ようになります。
「誰が誰のために、どのように作るのか」-この考えを突き詰めた結果、手間暇がかかったとしてもhumの職人がひとつひとつ作りあげるジュエリーこそが理想だという結論に至りました。
これまで鋳造で作っていたリングを鍛造に切り替えていくにあたり、プロジェクトリーダーに職人・土屋が指名されました。
humでは、鍛造といえば土屋。土屋といえば鍛造。それほど鍛造の技術に長けている職人です。
今回のリニューアルに際しては手作業によって起こり得る誤差を極力無くすよう、綿密に制作工程を考え抜いているそうです。
鍛造へのリニューアル第一弾は、手作業で刻まれる和彫りの月桂樹模様が印象的な“Carving Ring”。
これまでは代表・貞清しか彫ることのできなかったリングですが、この度新しくなる店頭サンプルの彫りを職人・神田が担当しました。
入社以来和彫りに特化した内容の訓練を積んでいる神田は、日々の努力の甲斐あって、最近Octagon Ringの彫りのデビューを果たしたところです。
貞清にその腕を認められ、習得できる職人が非常に少ないCarving Ringの彫りを入社2年目にして任せられる事に。
リングを1本1本手作りして、模様も1本1本手彫りしていると聞くと、何故そこまでするのか、と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
確かに時間も手間もかかります。
しかし全てのhumのジュエリーは、時間と手間を惜しんでは作る事ができません。
手間をかけさえすれば良いというものでもありませんが、人を感動させる作品の裏には必ずといっていいほど、作り手の血や汗や涙が隠れているように思います。
humのジュエリーは、大量生産を前提とせず時間も手間も惜しまないからこそ作れるものばかりであり、そこが大きな魅力と個性になっています。
新型コロナウィルスの蔓延は、私達がこれまでやってきたことは間違っていなかったと確信するきっかけになりましたが、「記憶に残るジュエリー」というコンセプトで作り手とお客様の想いを繋ぐことをモットーにしてきたhumがハンドメイドを突き詰めるようになるのは、早かれ遅かれ必然だったかもしれません。
9月より展開しているREFINE METAL Collectionの新作“THE SYMBOL OF REFINED METAL”は、このような言葉と共に発表されました。
想いを込めて身に纏うジュエリーは、
「素材の調達方法から生産背景までデザインされていなければならない」
「機械ではなく人間によって作られたものでなければならない」
REFINE METAL Collectionやブライダルコレクションに限らず、皆様に届ける全てのジュエリーがこの言葉を体現するものとなるよう、humはこれからも鍛造製法に向き合い続けます。
2021.10.27(wed)
“Carving Ring” renewal
今日も最後までお付き合いいただきありがとうございました。