背伸びの効力
こんにちは、小西です。
「10年後の自分を想像して選ぶと良い買い物ができる」
「背伸びするのも良い経験」
こちらの記事を書いたとき、WORKSHOP NANOKAWAの小野から聞いた言葉です。
彼がヴィンテージのフランクミュラーを着けこなしている姿から説得力を感じ、強く印象に残っています。
先日お立ち寄りくださった顧客様も、同じようなことを話されていました。
5年前にご購入いただいたlaceのリングが、「当時の自分にとっては背伸びしたセレクトだったけど今すごく気に入っている」、との事。
そして5年経った今、また少し背伸びしたジュエリーを選びたいと、humete Combination collectionのフープピアスを第一候補にされております。
フルダイヤのバングルや1点もののリングなどもご覧いただきましたが、「身につけた時に強くなれそうなもの」というのが今の絶対条件だったので、こちらのピアスがぴったりハマりました。
思えば、私も5年近く前に背伸びしてリングを買いました。
幅広のリングの輪郭をメレダイヤが縁取るデザイン。2周入ったダイヤとK18ゴールドのボリュームが、年齢を重ねるごとに味わい深さを増していくように思えました。当時の私にとっては高価な買い物でしたが、10年後、20年後にも着けているイメージがわいたので、購入を決めました。
実は昨年不注意で失くしてしまったのですが、一瞬たりとも迷うことなく同じものをオーダーしたくらい、私にとって無くてはならない存在です。
私の話はさておき、前述のお客様をはじめ、「えいっ」と思い切って買ったものを大切に愛でる方って、皆様すごく素敵です。謙虚なのにどこか自信に満ち溢れていて、美しい。
手が届きそうで届かないもの、分不相応なものを手に入れるとき、少なからず無理をしたり、何かしらの工夫や努力が必要になるのではないでしょうか。
それは単にお金を工面するというような話にとどまらず、そのものに見合った自分になろうとする行為も含まれると思います。
自然と姿勢が整ったり、合わせるものを考えたり、心構えが変わったり。。。
背伸びする買い物の本質は、そこにあるような気がしてなりません。
私はhumで働き始めてから、ジュエリーがお客様の表情や立ち居振る舞い、考え方や価値観にまで影響を与える過程を、幾度となく見てきました。お客様とジュエリーが共に成熟していくような事例が少なからずあるんです。
なぜhumのジュエリーにそこまでの力があるのだろうかと考えるのですが、一番の理由は「技術とデザインに全てのリソースを注ぎ込んでいるから」だと思います。
広告は打たないし、衣装協力も行っていません。雑誌等の媒体へのリースも基本的に止めました。自分達が作るモノのクオリティとその背景にある信念だけをもって、新しい市場を切り拓こうとしています。
ここまで徹底してストイックに作られたジュエリーは、作る側だけでなく選ぶ側もストイックにならざるを得ません。メディアの影響力や拡散力に情報が載っかることがないので、審美眼を持った人でないと価値を見極められないからです。
だからhumのお客様方は、決して安くはないジュエリーをストイックに選び抜く度に、ご自身の審美眼をより確かなものにしていくのだと思います。
「欲しいとは思うけどなかなか手が出ない」、そんなジュエリーをhumで見つけてくださったなら、少しだけ勇気を振り絞っていただければ幸いです。
そのジュエリーが自分のものになった後には、共に成熟していく喜びが待っています。
今日も最後までお付き合いいただきありがとうございました。