“詫間宝石彫刻”訪問レポート
こんにちは、小西です。
先日とある企画について打ち合わせをする為に、甲府の「詫間宝石彫刻」さんへお邪魔してまいりました。
宝石の町とも呼ばれる山梨県・甲府市は日本有数のジュエリーの産地で、ジュエリーに携わる職人や工場が数多く集まっています。
中でも詫間宝石彫刻は、宝石彫刻・宝石研磨・貴金属加工と三つの異なる分野を手掛けている珍しい企業です。
創業者の詫間悦二さんは、安倍元首相から勲章を授与された経歴を持つ宝石彫刻作家。
現在は息子の康二さんと亘さんが、二代目として家業を引き継ぎ経営しています。
詫間宝石彫刻とhumのお付き合いが始まったのはかれこれ10年ほど前、color stonesコレクションを制作する際に半貴石の研磨を依頼したのがきっかけでした。
当時デザイナーが強くこだわっていたのは、バフトップやシュガーローフといった特殊なカッティングスタイル。広く流通しているカットでは無いため、請け負ってくださる工場は多くありません。
そんな中、デザイナーの偏愛を受け止めて形にしてくださったのが、詫間宝石彫刻だったのです。
(クリソプレーズ・ラピスラズリ・ローズクォーツの原石)
代表取締役を務める康二さんがこのように話してくださいました。
「普通の工場とか職人はデザイナーから発注された通りに作ろうとするけど、うちはデザイナーと二人三脚で“共創”させてもらうことの方が多くなってきました」
bespokeやremodelなどのオーダーを承ることが多いhumでも、言われた通りに作ることを是とするのではなく、作品としての純粋な完成度とお客様にとっての本質的な満足度を追及し、ヒアリングとご提案を繰り返しながら共同作業で創り上げています。
このような職人の在り方に対する考えまで共通していたからこそ、一緒にcolor stonesコレクションを完成させることができたのだと言えるかもしれません。
(humのcolor stonesコレクション)
「仕事を受ける時にまず考えるのは“伝統”。ずっとベースにあるのは伝統工芸で、それをいかに新しいものづくりに活かすかがうちのやり方だし、伝統を無視して何かをやろうとは思わない」と、康二さん。
若い世代に技術を伝え、後進を育成しながら、今後は「原点回帰」を考えているのだそうです。
「会社を継いでからスタッフの人数も増えて、やれる仕事の幅が広がった。若手も育ち始めているし、親父が元々やっていた彫刻の分野のほうへ少しずつ軸足を戻していきたい」
宝石の町・甲府に代々伝わる伝統工芸を、時代の変化に合わせた独自の手法で発展させてきた詫間宝石彫刻。
二代目の康二さんと亘さんが次世代に継承しているのは、単なる技術だけではなく、創業者であるお父様の情熱や心意気でもあるのだと感じました。
さて、今回約10年ぶりとなる詫間宝石彫刻との“共創”を、ワークショップという形で実現できそうです。
近々お知らせできる予定ですので楽しみにお待ちくださいね。
photo by Makoto Ono
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<余談>
WORKSHOP NANOKAWAの小野と私が康二さんと真剣に打ち合わせをしている間、代表の貞清と職人の森山は亘さんと一緒にクワガタ獲りに明け暮れていました。。。
そして完成したのが、こちらの作品です。
ご覧ください。
photo by Keisuke Mogi
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今日も最後までお付き合いいただきありがとうございました。