【concept】New Collection “lace”
こんにちは、小西です。
大変長らくお待たせいたしました。
2022年9月9日(金)より、lace collectionの新作をhum JINGUMAE atelier & shopにてお披露目します。
新作とは言っても、昔からhumを見続けてくださっている方ならどこか見覚えのあるデザインだと思います。
ガーランドスタイルをカジュアルにアレンジしたlace collectionは、実は約15年前にhumが初めて発表したコレクションでした。今回の新作は、当時のデザインを再解釈して作られています。
なぜ15年以上経った今、当時のデザインを作り変えたのか・・・
なぜガーランドスタイルをカジュアルにアレンジしようと思ったのか・・・
本日はhumの歴史を振り返りながら、そのコンセプトを解説してまいります。
<ガーランドとは>
エドワーディアン期と言われる1901年〜1920年ごろ、職人の手工芸から機械による工業生産への転換期に作られたジュエリーのスタイルを「ガーランドスタイル」と呼びます。
レースやリボンのような透かしの花綱模様・繊細なフレームワーク・場面を埋め尽くすダイヤモンドやミルグレインが特徴の、優美で華麗なジュエリーです。
時代背景としては、キンバリーでダイヤモンド鉱山が発見されダイヤモンドラッシュと言われるムーヴメントが起きたり、技術の発達によってこれまで加工できなかったプラチナを溶解できるようになったりと、ジュエリーの歴史において重要なトピックスがあり、その影響からプラチナとダイヤモンドを多用したジュエリーが作られました。
(ガーランドスタイルのストマッカーブローチ/出典:http://www.cartier.jp)
当時、ジュエリーはごく一部の富裕層だけが身に着けるものでした。
ヨーロッパの王侯貴族が富と権力の全てを持っていた最後の時代に、職人と機械の技術が見事に交わり生まれたガーランドスタイルは、長いジュエリーの歴史において最高級と評されることもあります。
ガーランドの芸術的な美しさを日常的なデザインに落とし込み、ファッションの延長線上にある本物のジュエリーを作ろうと試みたのが、15年前にhumが初めて発表したlace collectionです。
100年前のジュエリーは富裕層が夜会のドレスに合わせて着飾るためのものでしたが、現代では仕事や家事に勤しむ女性の日常に溶け込むものでなければなりません。
透かし模様やミルグレインを抽象化し、プラチナではなく温かみのある18金を使用することで、ガーランドスタイルを現代版に昇華させたジュエリーが完成しました。
(当時のlace collection)
このコレクションは多くのショップでお取り扱いいただき、幅広い層のお客様が「かわいい」と手に取ってくださりました。スタイリストさんの目に止まる機会も増え、humというブランドの知名度が高まっていきました。
デザイナー・稲沼と代表・貞清に当時の話を聞いてみると、humのジュエリーをたくさんの人に届けられたことは喜ばしく、ある種の達成感があったそうです。
しかし、自分達が本当にやりたいことまでは伝えきれていないというジレンマが心のどこかに残ったのだとか。
ー「かわいい」だけでは終わらせたくないー
当時の二人が密かに抱いていた思いが、今回の新しいlace collectionに繋がっていきます。
それ以来、humは実に多彩なコレクションを展開してきました。
特筆すべきはやはりhumeteのシルバーコレクションでしょうか。
lace collectionのイメージを裏切りたいと思い、あえて無骨なシルバーをテーマに選んだそうです。
発表した当初は「humがシルバー?」と驚いた方も少なくなかったはずですが、じわじわと人気を博し、今ではブランドの看板アイテムになりました。
コレクションがlaceでもhumeteでも、humは常にジュエリーの長い歴史に目を向けてきました。
この先長く残っていく本物を目指すからこそ、文化的な背景を重んじながら、それを自分たちのスタイルにアレンジしてきました。
やがて15周年を迎えようとする頃に、今の成熟したチームで初期の作品を作ったらどうなるんだろう?というアイデアが浮かんできたそう。
スローガンとして掲げる「WORKING CLASS MOVEMENT」や「記憶に残るジュエリー」「誰が誰のために作るのか」というコンセプトを追求し、かわいいイメージに止まらないlace collectionを制作しました。
素材はもちろんリファインメタル。humの職人によるオールハンドメイドの鍛造製法で作られます。
異素材を緻密に削り合わせるコンビネーションの仕様は、手作業でしか成し得ないもの。
成熟したhumの思想と技術を詰め込んで、15年前のデザインをアップデートしています。
昔からhumを見てくださっている方にも、最近humを知った方にも、
ガーランドという歴史的なスタイルを通してジュエリーが本来持つ魅力を感じていただけるコレクションになりました。
大量生産・大量消費の時代を経て、丁寧に作られた美しいものを手元に置いておきたいという方に、ぜひお目に掛けたいと願っています。
New Collection “lace”
2022.9.9
hum JINGUMAE atelier & shopにて販売開始
今日も最後までお付き合いいただきありがとうございました。